むし歯を予防するためには、フッ化物(フッ素)が効果的です。
今回、フッ化物歯磨剤についてお伝えします。
フッ化物の効果について
フッ化物の効果は次の通りです。
①再石灰化を促進(臨界pHが下がり、酸に抵抗できる)
②歯の脱灰を抑制(結晶にフッ化物が合体し、脱灰しにくい構造をつくる)
③結晶性の改善(脱灰した部分にミネラルを戻すことで結晶を再構成する)
④細菌の代謝阻害(細菌が代謝するときに出す酸を阻害する)
このように、フッ化物を使用することでむし歯の抑制効果が期待されており、数年前から歯磨剤に含まれるフッ化物濃度の上限が1,000ppm→1,500ppmに上がりました。濃度の上昇により、むし歯の抑制効果も上がるとされています。
歯磨剤の使用量について
さて、みなさんが歯磨きするときは、どの位の歯磨剤を使用していますか?
次の表を見てみましょう。
なんと、6歳以上はこんなにたっぷり歯磨剤をつけて磨くことが推奨されているのです。
昔は、歯磨剤は少なくて良いとされていましたが、今は違います。フッ化物の薬効を最大限に利用しようと考えられています。
しかし、6歳未満の小さい子に対しては、フッ化物濃度と量を減らして使用することが望ましいです。(歯磨剤の保管は小さいお子さんが誤って大量に飲んだりしないよう置く場所には注意しましょう。)
歯磨剤の使用に際しては、次のことにも気をつけましょう。
注意1:発泡剤にだまされない!
市販の歯磨剤には発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム)が入っています。発泡剤は、泡立ちを良くするので爽快感が得られ、“よく磨けた”と錯覚しやいです。
磨いたつもりで磨けていない大きな原因の1つです。
なお、歯科専売の歯磨剤には発泡剤が入っていません。爽快感は少ないですが、泡立ちに誤魔化されずにしっかり磨けます。
注意2:歯磨き後はなるべくゆすがない!
歯みがきが終わったら、しっかりゆすぎたい方も多くいらっしゃることでしょう。
現在の考え方では、フッ素の効果を最大限に利用するため、歯磨き終わりは口をゆすがないことが理想とされています。もしゆすぐ場合は、少量の水でサッと行う程度にしましょう。
まとめ
以上、むし歯を予防する手段の1つとしてフッ化物入り歯磨剤について説明しました。
むし歯を抑制できるのは、もちろん適切なブラッシングがあってこそです。
適切なブラッシング+フッ化物の使用
この組み合わせが大切です。
引き続き、日々の念入りな口腔ケアを行いましょう。
当院では、歯周疾患の方に対してブラッシング指導に力を入れています。
適切なブラッシング方法を知りたい方はご説明しますので、相談ください。
出典:4学会合同(日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会)のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法2023年度版
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